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eスポーツの世界

2019.08.11 Sun.
e-Sportsはオリンピックの採用されない4個の理由

e-Sportsはオリンピックの採用されない4個の理由

世界的に話題を呼んでいるのがe-Sportsになり、日本でも最近は認知度が高まってきているように思われます。
まだこれからという感じもありますが、e-Sportsはオリンピックの種目としては採用されにくい、という性質を持っているようです。
そこには様々な理由があるようですが、比較的ネガティブなものが多いのが実態と言えるでしょう。
e-Sportsがオリンピックの採用されない4個の理由について、紹介していこうと思います。

 

そもそもe-Sportsとは何か?

最近世界的にも賞金額が話題になり、ニュースでも取り上げられる機会も多くなったe-Sportsですが、実際にはどういうものかになるのでしょうか?

e-Sportsについては、日本eスポーツ連合(JeSU)で、次のように定義されています。「eスポーツ(esports)」とは、「エレクトロニック・スポーツ」の略称であり、広義的には電子機器を利用して行う、娯楽、競技、スポーツ全般のことであり、コンピューター(PCやコンシューマ)ゲーム、ビデオ(アーケードも含む)ゲームを使用した対戦をスポーツ競技として行うものです。
これはつまり複数のプレイヤーが競技するゲーム、と言えます。

 

実際にe-Sportsの中に含まれているゲームのジャンルは多岐に渡っており、スポーツ系やカード系、FPS系など様々です。

 

日本国内では、最近ようやくその認知度が高まってきていますが、海外では以前から盛んに行われています。他の一般的なスポーツと比べて、掛けられる賞金額を大きく上回るような大会が増加している点や、チームや個人にスポンサーが付いた、プロゲーマー呼ばれるプレイヤーが多いのが特徴と言えます。

 

日本でも徐々にその人気は広まってきており、海外と比べて賞金はやや少なめですが、スポンサーが付いている大会が行われるようになったり、チームや個人などとスポンサー契約することもあります。さらに近年では、e-Sportsそのものをオリンピック競技に加えることに賛同するという声が、世界中で広まってきているのです。

 

オリンピックの市場規模を見ても分かるように、今後はオリンピックの競技入りを求める声が、ますます高まっていくことは間違いないでしょう。

 

e-Sportsがオリンピックに採用されない理由

世界的に人気の高いe-Sportsですが、オリンピックの正式種目として採用されるためには、かなり難しい面も見られます。
その理由について紹介します。

 

◆暴力や差別を助長する恐れのあるゲームは開催できない

e-Sportsがオリンピックに採用されない理由はいくつかありますが、そのひとつとして有力なのが「暴力や差別を助長する恐れのあるゲームは開催できない」ことにあります。

承知の通り、オリンピックは平和の祭典であり、参加することに意義があります。そんな大切なオリンピックで、e-Sportsのような暴力や差別を助長するゲームを行うということ自体が問題であり、それが理由で開催できないということです。

 

これは国際オリンピック委員会の会長が正式に述べたもので、「We cannot have in the Olympic program a game which is promoting violence or discrimination」つまりは暴力や差別を助長する可能性を秘めているゲームは開催できません、と断言しています。改めて考えてみると、その通りだと思います。

 

平和の祭典と呼ばれるオリンピックの中で、FPS(銃を撃ち合うような対戦ゲーム)などを開催したら、どうなるのでしょうか?
e-Sportsの賛成派は特に何も感じないかもしれませんが、e-Sports反対派や初めて見る方にとっては、反対の手を挙げる人も出てくるでしょう。銃を撃ち合うような対戦ゲームをしている光景を見て、世も末だと感じてしまう人も増えるのではないかと思われます。

 

気になる方は、オリンピック憲章を確認してみてください。
そこには「人間の尊厳保持に重きを置く平和な社会や推進を目指すため」と、きちんと記載されているのです。そのような背景もあり、血を流すようなバトルやシューティング系のゲームを、オリンピックで採用するのは難しいと言えるでしょう。オリンピックでは、「人間の尊厳保持に重点を置き、平和社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展に役立てることである」と規定されているのです。

 

◆e-Sportsはパブリックコンテンツではない

e-Sportsがオリンピック種目として認められない理由としては、「パブリックコンテンツではない」点も挙げられます。
これはオリンピック委員会からの公式な回答ではないのですが、e-Sportsそのものが特に暴力的なゲームではないのにも関わらず、オリンピックでの採用が難しい理由には、許諾の問題が絡んでいるようです。

 

サッカーやラグビー、野球などの一般的なスポーツはパブリックコンテンツであり、版権がありませんので許諾を得る必要はありません。一方でe-Sportsの場合は、ゲーム大会などを開催する際に、ゲームの著作権側に使用許諾を得る必要があるのです。例えば、スマブラをオリンピックの正式な種目として採用しようとすると、任天堂の版権が関係してくることになります。

 

オリンピック委員会自体も、オリンピック競技に関する放送権の販売を行うなど、一方で版権ビジネスも行っていることもあり、そこに新たな版権が絡んでくると、版権元との交渉など手続きが複雑化してくることになります。
そのような複雑な手続きをするくらいなら、「最初から外した方が楽で良い」といったネガティブな考えが出るのも当然の成り行きでしょう。オリンピック委員会も色々と忙しいため、e-Sportsの版権手続きなどに絡んでいる暇はないのかもしれません。

 

興行ビジネスにおけるe-Sportsのデメリット

オリンピックでe-Sportsの開催が難しい理由としては、興行ビジネスにおけるデメリットの面も挙げられています。
e-Sportsの興行ビジネスとしてのデメリットはいくつかありますが、そのひとつがルールの問題です。

ビジネスモデルとして既にその形が確立された海外では事情も変わってくるかもしれませんが、日本の場合はまだ当てはまる可能性があります。e-Sportsのことを知っている人であれば特に問題ありませんが、e-Sportsを知らない人にしてみたら、e-Sports自体を観戦するのにも、そのルールの難しさがあるのではないかと思います。

ゲームの内容によっては、ルール自体が分かりにくいものも少なくありません。

 

e-Sportsそのものをビジネスとして成功させるためには、ルールの明確化を実現する必要があります。そうでなければ、観戦者は増えることがないでしょう。競技人口の増加も挙げられますが、これは半分正解と言えます。競技人口ももちろん大切ですが、それ以上に観客を増やさなくてはならないのです。

興行ビジネスで大切なことは、より多くの人に見てもらえることだからです。そうしなければ、お金を稼ぐことはできません。
e-Sportsにとって重要なのは、プレイヤーよりも観客なのです。興行ビジネスにおけるe-Sportsのデメリットでもある、ルールと競技人口・観客の増加も、それぞれ3つ目と4つ目の理由として挙げてもいいでしょう。

 

世界的に高い人気を誇るe-Sportsですが、オリンピックには採用されにくい、と言われています。
そこにはいくつかの理由があり、代表的とも言える4つを紹介しました。
中でも「暴力や差別を助長する恐れのあるゲームは開催できない」点が、最も大きいのかもしれません。

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