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eスポーツの世界

2019.08.08 Thu.
e-Sportsで改めて考えるスポーツと体育の違い

e-Sportsで改めて考えるスポーツと体育の違い

オリンピック種目に選ばれる可能性があり、話題に事欠かない「e-Sports」ですが、このeスポーツをめぐってスポーツの本質が問われることが増えてきています。
つまり「スポーツとはどういうものなのか?」という点であり、とりわけよく似ている「体育」と対比されることがあります。
e-Sportsの登場で改めて考えてみたい、スポーツと体育の違いについて考えてみる良い機会かもしれません。

 

スポーツと体育

スポーツと体育の違いを問われると、すぐに答えられる人はどれくらいいるのでしょうか?
もちろんすぐに明快な解答を導き出す人もいるでしょうが、答えに詰まったり全く出てこなかったりなど、満足できるような解答ができない人が多いのではないか、と思われます。
両者の違いを論ずるには、まずはそれぞれの違いを理解しておく必要があります。

 

スポーツとは

まずスポーツと呼ばれる競技として、野球やサッカー、バレーボールやバスケットボール、卓球、ゴルフなど、様々なものが存在しています。

それら全てのことを誰も疑問に感じることなく、何気なく「スポーツ」という言葉で表現することがほとんどです。
もちろん野球やサッカーなど、ひとつひとつの名称を表現する方法もありますが、一般的な呼び方としてまとめられる機会は珍しくありません。

それら全ての競技をまとめて表現するのに便利な言葉、それが「スポーツ」です。

 

テレビやネットでは、様々なスポーツニュースやスポーツバラエティなどがありますし、新聞ではスポーツ新聞が毎朝様々な種類のスポーツの試合内容や結果、さらに活躍した選手のインタビューなどを記載して読者に届けています。

スポーツというのはとても便利な言葉であり、たったひとつの名称だけで、あらゆる競技を表現することが可能です。

人が身体を動かすことが「スポーツする」と表現され、様々な運動器具のある施設や憩いの場などを提供している施設のことを、「スポーツクラブ」などと呼んでいます。

 

それらの名称を見ても、特に違和感を覚える人はいないでしょう。

多くの方が特に意識することなく、それらの言語を使ったり、読んだりしているのです。

 

普段から何気なく使っている「スポーツ」という名称ですが、どのように定義づけられているのでしょうか?

広辞苑や国語辞典などを参考にすると解かりやすいかもしれません。

広辞苑によると「陸上競技を始め、野球、テニス、水泳、ボートレースなどから登山、狩猟にいたるまで、遊戯・競争・肉体的鍛練の要素を含む身体運動の総称」と記載され、国語辞典によると「余暇活動・競技・体力づくりとして行う身体的な運動。陸上競技・水泳・各種球技・スキー・スケート・登山などの総称」とされています。

 

どちらも同じような内容になっているのが分かりますが、簡単に言えば余暇を利用して行う身体を使った活動のことであり、そこには「競う」というキーワードも含まれているのです。

それ以外にも「遊戯」など、競技以外の「遊び」の要素も含まれていることがポイントです。

研究を進めている方々は、スポーツの定義については「学者の人数だけある」とも言っています。

 

フランスの学者として有名なベルナール・ジレは、その著書でもある「スポーツの歴史」で詳細を延べています。
それによると「あるひとつの運動をスポーツと認識するためには、私は3つの要素すなわち「遊戯」、「闘争」、「激しい肉体活動」を要求する必要がある」と伝えています。

また、筑波大学の名誉教授の見解では、ジレの指摘について「スポーツの三要素」と名付け、研究のベースにしたと言います。
加えて、1964年に東京オリンピックが開催された際に、国際スポーツ体育協議会(ICSPE)は、スポーツの定義を「プレイの性格を持ちつつ、自己や他人との競争あるいは自然障害との対決を含んだ運動の全てがスポーツである」と明言しています。

それらスポーツの定義は、東京オリンピックが開催されるにあたって、スポーツの概念ということで参考にされたようです。

 

他にもまだあり、例えばアレン・グートマンはより簡潔に述べています。

それが「遊びの要素に満ちた身体的競争」と定義づけするものです。

以上のように、スポーツの定義には様々なものがありますが、それらに共通して言えることは、どれも「遊戯」や「プレイ」、「競争」というキーワードがあることです。

 

これを見ても分かるように、スポーツというのは3つのキーワードなしでは成り立たないということが言えると思います。
先人の言葉を見る限り、そう感じさせる内容ではないでしょうか。
スポーツ(sports)の語源が、ラテン語である「deportare」に由来することは、各種の文献を見れば分かります。

 

この「deportare」ですが、「de」は「away」、「portare」は「carry」であり、「運び去る」や「運搬する」、「輸送する」や「追放する」などの意味があると言われています。

ある場所から別のところに移動する、運ぶ、移す、転換するなどの本来的な意味から、「気を晴らす」、「気分を転じさせる」など、どちらかと言うと精神的な意味合いでの「移動」や「転換」などに転じたようです。

 

そして徐々に「義務からの気分転換」や「元気のための回復」などが、スポーツの一般的な意味になっていきます。

 

元々の「deportare」が、フランス語の「気分を転じる」、「遊ぶ」、「楽しませる」などの意味を持つ「depotre」や「desporte」に転じ、16世紀に、同じ意味の英語である「disport」や「sporte」、「sport」になっていくのです。
そこには、ゲームやショーといった意味が存在していたことになります。

 

体育について

スポーツについては分かりますが、それでは体育はどうなのでしょうか?
体育はスポーツとは異なり、あることを教えるのが基本です。

 

「体を真剣に動かして汗をかけばいい」、「気持ちよくなればそれで良い」などと考えている人も多いのではないでしょうか。
一見似たように見える授業であっても、体育自体をどのように捉えているのかによって、その内容は大きく変わってくるのです。

 

特に体育の授業の場合は、他の教科よりもその違いは明確であり、施設や設備、使用する用具や学校の規模などが大きく影響してきます。

あるひとつのクラスが、与えられた時間の範囲内で体育の授業を行う場合に、実際に教えることができる内容は限られてくるでしょう。

全ての用具を自由に使ったり、運動場や体育館の全てを使ったりすることが難しいからです。

当然他のクラスもありますので、必然的に限界が出てくることになります。

 

スポーツと体育の違い

体育とスポーツの違いをまとめてみると、以下のようになります。
スポーツは「健康や楽しみのために体を動かすこと」、「競技や体操などをすること」などで、体育はそれ以外のものになります。

すなわち楽しみのためにするのではなく、勉強のために行うものです。

それらの点を踏まえて見た場合に、eスポーツはどちらになるのかも明白ではないかと思います。eスポーツは、スポーツの定義にもあるように、競技や楽しみのために行うものではないでしょうか。もちろん学校などで教えるものになれば、体育になるかもしれません。

 

その辺りは、ケースバイケースで考える必要があるようです。

 

最近何かと話題を呼んでいるeスポーツですが、そもそも「e-Sportsとはスポーツか?」と疑いを持つ人もいるようです。
そのような方は、改めてスポーツと体育との違いを考えてみるのもいいかもしれません。
両者の違いを考えてみることで、e-Sportsのことを理解できるのではないかと思います。

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