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G学院のコラム

2019.08.06 Tue.
電子メールもなかった時代のお仕事

電子メールもなかった時代のお仕事

パソコンやスマホなど、現在は様々な種類の通信機器があり、それらを利用して仕事は効率的にできるようになりました。そして、スマホ依存症が深刻な問題とされるほど、今日では情報のやりとりが簡単になりましたが、いまの中高生の親御さんが子供のころには、パソコン通信と呼ばれる、いまのeメールの前身のような電子メールが普及して、やっとパソコンを使って連絡が取り合えるようになったばかりでした。

 

では、パソコンを使って連絡を取る以前は、どうやって仕事をしていたのでしょうか?

 

答えは、電話とFAXを使って仕事をしていた、というのが正解です。

 

まず電話ですが、基本は、自宅や会社に設置してある固定電話です。

そしてそれ以外、外出しているときは、公衆電話が使われていました。いまでは学校で公衆電話の使い方を指導をしなくてはいけないほど使う機会が少なくなりましたが、当時は、頻繁に外出する営業マンのような人は、どこに行けば公衆電話があるかを熟知していました。

営業の仕事は、ときには10分、20分が勝負の分かれ目になることもあり、優秀な営業マンほど、即時に会社に連絡を取れるスキルを身につけていたものです。

 

えっ、電話だと後で読み返すことができないのでミスが多かっただろうって、おっしゃるとおり、電話は証拠が残らないのでミスが起こりやすいのですが、当時はこのことが広く認識されていたので、電話を受けたときは必ず復唱(受けた内容を送った側に伝えて内容を確認してもらう)することが行われていました。

もっとも、ミスが起きる可能性が高いことを利用して、都合の悪いことは聞いていないことにしたり、わざと数量を間違えて注文を受けたりということもありましたね。

 

ちなみに公衆電話には、赤電話、青電話、黄電話、ピンク電話、緑電話、灰色電話、茶色電話(正式の名称ではありません)など、使われたかたの違いで、いろいろな色があります。

このなかで飲食店によく置かれていたピンク電話だけは公衆電話回線を使っていないので、公衆電話と呼べるかは微妙なところです。興味のある方は調べてみてください。さて、このように当時の仕事は電話がメインですが、電話にはいろいろと不便がところがあります。

 

まず第一に、先ほど述べたように、あとになにも残らないので、連絡ミスが起きやすいこと。

 

次に、外出の際、たとえ公衆電話があったとしても、他の方が既に利用していたら終わるまで待つ必要があります。

また、テレホンカードが使える公衆電話があればテレホンカードを持ち歩けばいいのですが、必ずしもテレホンカードが使える公衆電話ばかりではなかったので、この場合は小銭を用意しておかなくてはなりません。

急いでいるとき10円硬貨がなく、しかたなく100円硬貨で電話をしてしまった、という経験は誰でもあったと思います。(言うまでもありませんが、公衆電話はお釣りが出ません)

 

しかし、なんと言っても、電話の最大の弱点は、電話を掛けた先に、連絡したい相手がいないことがあるという点です。

当時、会社などでは電話を受けることを担当するスタッフ(多くは女性)がいて、「メモ置いといて」と言って要件を伝えていましたが、緊急の場合は立ち回り先(ホワイトボードなどに書いてあるはず)に連絡して、「急ぎの要件があるので、立ち寄ったら会社に連絡するように言ってください」とお願いすることもありました。

行っているはずのところに行っていなくて、帰社後に問い詰められるということも、たまに起こりましたが。

 

こんな状況ですので、多くの時間を外で過ごしている営業マンのような職種の人は、夕方帰社するとメモの山、なんてことがよく起こります。

そんなときは、大量のメモを処理するまでは帰宅できない、ということになるわけですね。

 

もっとも、連絡がしたいときに連絡がつかない、というのはメリットもあります。

というのは、外に出てしまえば会社からも連絡できないわけで、体調のすぐれないときは喫茶店で休む、真夏の炎天下では喫茶店で一服する、どうしても眠いときは喫茶店で仮眠する、などの体調管理がかなり自由にできました。

え、喫茶店ばかり使っているって。そうです、外出の多い仕事では、喫茶店というのは、とても重要な場所でした。休憩するばかりでなく、取引先からもらった書類を点検したり、急いで出さなくてはいけない書類を書いたり、ちょっとした資料調べをしたりと、いろいろなことに使っていました。

 

そして喫茶店には必ず電話があり、折り返しの電話が必要なときは、喫茶店に電話しもらって、呼び出してもらうということも行われていました。

いまでは、スマホですぐに連絡がとれ、書類も写真に撮って送ることができ、資料調べもネットから情報が取れるなど、とても便利になりましたが、万事に余裕がなくなってしまった感じもします。街に喫茶店が少なくなったことは、スマホの普及と関係しているように思います。

 

さて、延々と電話の話をしてきましたが、当時のもう一つに必須アイテムFAXについて触れておきます。

いま、20代以下の人は、FAXを使ったことがないかもしれません。電話以外は連絡手段が限られていた時代、FAXは極めて重要な連絡手段でした。FAXがなぜ重要な手段だったかというと、感が良い方はもうお気づきかもしれませんが、電話の弱点を補ってくれるからです。まず、FAXは、紙として相手側に送られるので、送った内容が保存されていることです。

 

特に、場所と時間を打ち合わせするとなると、間違っていると取り返しがつきません。このため重要な顧客など、絶対にはずせない相手には、電話で連絡するとともに、「確認のためFAX送りますね」とか言って、FAXを送ることが多かったです。たまに「必要ありません」と言われたりするのですが。

 

次に、やはり紙として送られるので、その場に連絡したい相手がいなくても、そのままメモになります。もちろん図面(グラフィック)が送れるという面も見逃せません。

 

また、電話だけだと、都合が悪い相手だと居留守を使われるたりするのですが、ファックスでは連絡をくれるまで何回も送るということができます。だた、個人オフィスなどに、あまりたびたび送ると、しまいには着信拒否(FAXにはのその機能がありました)されたりして、ついには直接行くしかない、ということになったりしました。

 

あと、FAXの便利な点として、登録しておけば、複数のところに次々送ってくれるというものがあります。

これはイベントの招待など、多くの会社や個人等にいっせいに連絡したい場合、事前にFAX番号を登録しておけば、自動的に連続して送ってくれる便利さがあるということです。電話では、それぞれにすべての番号に電話して伝えなくてはなりません。不在な場合もあるわけで、電話は結構な手間となっていました。

 

最後にFAXのデメリットですが、最大のものはセキュリティが保てないということです。

 

FAXは送ってしまったら、誰がみるか分かりません。(FAXを受ける専任者がいるなど)情報管理が徹底している会社ならいいのですが、そうでなければ連絡先の机の上に表向きで置かれている可能性もあります。もっとひどいとFAX受けからこぼれて、ロッカーの隙間に落ちているとかもあり得ます。

 

このため重要な案件でFAXをやりとりする場合は、電話で「いまから送ります」、「受け取りました」というやりとりをして、その場で受取を確認するようにしていました。

あと、FAXのデメリットとしては、音声回線でデジタルデータを送るので、回線との相性が重要というものがあります。これは詳しく説明すると大変なのですが、ようはFAXが送れたり送れなかったり不安定ということです。急いでいる場合に送れない状態が続くと非常に焦ってしまいますね。

 

以上、パソコンを使って連絡を取る以前の仕事のやり方について述べてみました。

 

みなさんは、当時の仕事のやり方を、「なんと非効率な」と思うでしょうか、それとも「牧歌的で余裕のある時代だったんだ」と思うでしょうか?

 

さて、パソコンを使って連絡を取る以前は、どうやって仕事をしていたのかについて述べてきましたが、今度はファックスがなかった時代は、どうのように仕事をしていたのかという疑問が沸いてきます。これについては、また機会があれば、お話ししたいかと思います。

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